モンブラン256 亡き父の形見

日頃あまり付き合いのない弟から、27年前に他界した父が物書きとしての仕事をしていた際に使っていたモンブランの万年筆を『僕は使わないから・・・』と手渡された。 

本当だったら父の生存中に父本人から手渡された方が嬉しさ100倍と言う所だが、まぁ、これも何かの縁・・・仕方ないか・・・

この万年筆、名前をモンブラン256と言い、何の因果か、このモンブラン256が製造されていたのが1954年から1959年と私の生まれ年に近く何となくとても親しみを覚える。

オーナーに他界され、27年間と言う月日を誰からも手にされず放置されてきたこのモンブラン256・・・さぁ、私の元に来たのだから、２７年間の他又垢を落としましょう・・・ではないけれど、さっそくぬるま湯につけ48時間・・・つけた水の色もようやく透明のままになった。

キャップにもヒビが入っていたりと、色々と手を加えなければならないところがある、回り回って私の元にやって来た父の形見のモンブラン256・・・私が新しいオーナーとなり、またしてもこのモンブランに新たな人生がやって来た。

きっと私との時間は、物書きの元にいたときと比べると、なんだか拍子抜けしてしまうのかも知れないが、私なりにこのモンブラン256を可愛がっていこうと思う。